B2016 18

目安時間:約 7分

第18問
以下のグラフは、ポートフォリオ理論の下での、すべてのリスク資産と無リスク資産の投資機会集合を示している。これに関して、下記の設問に答えよ。

(設問1)
/
無リスク資産が存在しない場合の記述として最も適切なものはどれか。

ア B-C 間を効率的フロンティアと呼ぶ。
イ 均衡状態においては、すべての投資家が同一のポートフォリオを所有する。
ウ 合理的な投資家は A-B 間から、各人のリスク回避度に応じてポートフォリ
オを選択する。
エ 投資家のリスク回避度が高くなるほど、点 C に近いポートフォリオを選択
する。

(設問2)
無リスク資産が存在する場合の記述として最も適切なものはどれか。

ア 均衡状態においては、すべての投資家が所有する危険資産と無リスク資産の
比率は同じである。
イ 資金の借り入れが、無リスク資産利子率において無制限に可能である場合、
投資家は D-E 間を選択せず、F-D 間から各自のリスク回避度に応じてポート
フォリオを選択する。
ウ すべてのリスク回避的な投資家は無リスク資産のみに投資する。
エ 点 D を選択する投資家も存在する。

第18問

ボートフォリオ理論に基づく、無リスク資産の有無に応じた投資機会集合に関する間 題である。グラフの直線や曲線が何を示しているかがわかれば解答できるので、同様の 問題が出題された場合には必ず解けるようにしておきたい。 ポートフォリオとは、証券などの資産を複数組み合わせたものである。無リスク資産 は、安全資産ともよばれ、リスクを冒さずにリターンを得られる資産である。

- 184 -

一般的には、国債が安全資産の例として取り上げられる。

●解答・解説編

一方、リスク資産は危険資産ともよばれ、無リスク資産よりも高い収益が期待される が元本割れのおそれもある資産である。たとえば、株式、投資信託、外貨預金などがあ

グラフを示すと以下のようになる。

無リスク資とリスク資産がある 場合の効率的フロンティア

D

リスク資産のみの場合 の効率的フロンティア

無リスク資産 のみの場合の

上図のとおり、点Fは無リスク資産のみの場合の効率的フロンティア、F-D間およ びその延長線上は無リスク資産とリスク資産がある場合の効率的フロンティア、B-C 間はリスク資産のみの場合の効率的フロンティアをそれぞれ示している。

無リスク資産が存在しない場合、すなわち、リスク資産のみの場合を検討すればよい。 ア最も適切である。B-C間は、リスク資産のみの場合の効率的フロンティアを示して いる。効率的フロンティアとは、投資機会集合のうち、同一のリスクに対してリターン が最大となる点の集合のことである。

イ不適切である。すべての投資家の需要とすべてのリスク資産の供給が一致した均衡状 態であっても、投資家ごとにリスク回避度は異なるので、同一のポートフォリオを所有 するとは限らない。

つ不適切である。合理的な投資家であれば、D-B間と同程度のリスクにもかかわらず リターンが低いA-B間を選択しない。合理的な投資家は各人のリスク回避度に応じて リターンが最大となるB-C間(リスク資産のみの場合の効率的フロンティア)からガー トフォリオを選択する。

工不適切である。点Cはリスクが最も高い点である。投資家のリスク回避度が高くなる のであれば、リスクが高いボートフォリオを選択しない。

(設問2) エ

無リスク資産が存在する場合、すなわち、無リスク資産のみの場合と無リスク資産と リスク資産がある場合を検討すればよい。

ア不適切である。すべての投資家の需要とすべての資産の供給が一致した均衡状態で あっても、投資家ごとのリスク回避度は異なるので、危険資産と無リスク資産の所有比

Tom

率が同じとは限らない。

イ不適切である。資金の借り入れが無リスク資産利子率で無制限に可能な場合には、巨 Dから点Eを通る直線上の任意のポートフォリオを選択する。資金の借り入れができな い場合には、F-D間の任意のボートフォリオを選択する。 り

不適切である。リスク回避的な投資家は各人のリスク回避度に応じて、点F、D、E を通る直線上から任意のポートフォリオを選択するので、無リスク資産のみに投資する 点Fとは限らない。 エ最も適切

である。点Dは無リスク資産とリスク資産がある場合の効率的フロンティア 上にあるので、この点を選択する投資家も存在する。

三國

平成27年度第18間、第19問

●今後の学習対策・

「財務・会計」合格への最短ルートは、管理会計とファイナンスの分野で確実に得点 することである。

「財務・会計」の科目合格率は、昨年度~今年度と2年続けて高く、来年度は強化の 可能性がある。ただし、難易度を大きく左右しているのは財務会計で、テキストに掲載 されていない論点が多数出題される場合である。管理会計、ファイナンスの難易度は、 それほど変わらない。また、管理会計、ファイナンスは財務会計に比べて出題範囲が狭 いにもかかわらず、試験問題の約70%を占めている。したがって、合格にはこれら2 分野の攻略が必要不可欠である。

余裕がある受験者は、財務会計の知識を深めてもよいが、日商簿記検定などの他資格 の勉強をするのは遠回りになりかねない。それをするくらいなら、テキストや問題集の 内容を自分の言葉で説明できるようになろう。論理的に説明する力がつけば、ひねった 問題が出題されても対応できるし、2次試験対策もスムーズに進むはずだ。 「財務・会計」は計算問題が多く、時間制約の厳しい科目でもある。

それでも、「計算 問題は3分以内、理論問題は1分以内」というように、自分なりの制限時間を設ければ、 60分で完答することは可能である。毎回時間を通って、過去問題集に取り組もう。

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